最近、インディードで絵に関する仕事を眺めていると、そのほとんどが「ゲームイラストレーター」の募集だったりします。
日本ではソシャゲが大流行していて、今もどこかでスマホを片手にゲームをしている人がいますよね。
電車に乗っている学生さんも、会社員の方も、その多くは必ず一本くらいは楽しんでいるソシャゲがあるくらいです。
その為、ゲームに使うキャラクターや背景、武器等のデザインを行えるイラストレーターさんはかなり重宝されます。
絵師として活動する一つの目指す方向性としては、成功しやすいルートになっているのも事実かもしれません。
では、私のようなゲームに使用されるような絵柄の絵師は活動が狭まっているのか。
私は必ずしもそうではないと思います。
海外ではソシャゲはあまり流行ってない、日本はソシャゲ大国
実は、海外ではソシャゲはあまり流行っていません。
事実、日本でヒットしているソシャゲを海外でも展開したのにもかかわらず、1年ちょとでアプリを閉じる事態になってしまったというのは珍しい話ではないのです。
海外のゲーマーの多くは、パソコン環境でプレイしています。
外でゲームをするとしても携帯型のゲームくらいなんだそう。
スマホでゲームする習慣があまりないようです。
私の知っているソシャゲも、海外展開したにも関わらず早い段階でサービスを終了させてしまいました(実際にYouTubeで話されていた)。
それに比べて日本は、ソシャゲがずっとフィーバーしていますね。
毎日何かしらのゲームが生まれては消えていく、を繰り返しています。
スマホでゲームをするのは、日本人特有なのかもしれません。
ちなみに海外ではiPhoneを使用している人口の割合は、そこまで高くないようです。
日本ではiPhone勢がむしろ多く、android勢がかなり少ないくらいですよね。日本と海外とでは全く価値観が違うんですよね。
そうなるとソシャゲ絵師が足りないのもうかがえます。
ソシャゲ的な絵が描けないと仕事がないのか
私が見た限り、求人の多くはソシャゲ用の絵師の募集だと思います。
最近はYouTubeマンガの制作イラストレーター(漫画家?)の募集も増えてきています。
YouTubeで、音声が吹き込まれたマンガの動画を観ることは多くなりましたもんね。
じゃあソシャゲ的な絵が描けないと仕事がないのかと言われると、そうではありません。
毎日何気なく目に飛び込んできて、何の感情もなく目をそらせる広告に絵が使われていたら、それはどこかの絵師さんが依頼されて描いたものです。
そこに乗っている絵はアニメ的なものとはかけ離れたシンプルな絵であることが多くないですか?
つまりはそういうことです。
使われる媒体によって求められる絵柄は変わるので、「自分が絵はゲーム的じゃないから」とか「マンガなんて描けない」とか「YouTubeに使われるようなマンガ的な絵じゃない」と嘆く必要はないのです。
ちなみに私はゲーム的な絵でもYouTubeマンガ的な絵でもないですが、仕事はできています。
GIFアニメの制作として依頼されたものもあります。絵の仕事はそこら中に広がっていて、むしろ絵師が増えてくれないと困る状態だと思います。
イラストレーターになりたい人が多くなりすぎて席がないのではという懸念
イラストレーターは、なりたい職業の中でもずっと上位にいます。
そして、目指している人はかなりの数います。ですが、そのほとんどは仕事をもらえていません。
でも仕事はずっとあり続けるんです。この矛盾ですよね。
仕事はあるのに仕事がもらえない、結局はトップの人がずっと仕事がもらえているような状態なので、増えすぎて席がないと思われていてもおかしくありません。
イラストレーターになりたいと思っていると、そればかりが目に付くようになり、視野が狭まってしまいます。
漫画家さんの言葉にこういうのがあります。
「漫画家になりたいと漠然と思っているだけだと、どこかで挫折して続かない。どんなマンガが描きたいのか、このマンガは自分にしか描けないんだ、と具体的に考えている人が生き残っていく」
言い方は違いますが、意味合いは同じです。
漠然とイラストレーターになりたい、絵を描く仕事がしたいと思っていたのでは、一生絵で生活ができない絵師になってしまう。
でもどういう絵が描きたいのか、自分の絵は何に向いているのかなどを見極め、「○○を描く絵師になりたい」と具体的に決めてランディングしていったり絵を描いていけば、必ず大成する人になります。
私は現在LINEスタンプクリエイターとして活動しながらイラストレーター、絵師として活動しています。
今の私の目標は、絵本の挿絵を描く絵師です。
自分の絵柄が手書き風の2頭身の絵なので、それを考えた時、一番合っているのはグッズと絵本じゃないかと思ったんです。
絵本作家は多いと思いますが、有名な人はどれくらいいるでしょうか。
絵本の業界は数千部売れたらベストセラーと言われるような世界です。有名な絵本がずっと出続けていて、完全新作な絵本はそこまで多くありません。
西野さんのプペルが大ヒットしましたけど、その他の新作の絵本って知らない人の方が多いのではないでしょうか。
それくらい規模が縮小している業界なんですよね。
でも私は絵本の世界は魅力があると思います。
私はマンガが読めませんが、絵本は読めます。同じようにマンガを読むのが苦手な人はいるでしょう。
マンガが苦手でも絵本なら読めそうじゃないですか?コマはないし文章は少ないし、絵は1ページに数枚くらいですもんね。
マンガが苦手な人でも読める絵本を作りたいと、今思っています。
絵本を作りたいといっても、私の場合は絵本の挿絵を描きたい思っているタイプです。
物語の構想はできるけど絵は描けない、という人と手を組んで仕事をしたいという具体的な目標があるんです。
シンプルに言えば分業制で仕事をしたいということですね。
さくらももこ先生の話
若干関係ないかもしれませんが、少し面白い切り口のものを書きたいと思った時にこのエピソードが浮かびました。
ちびまる子ちゃんの作者であるさくらももこ先生は、学生時代からエッセイの能力を高く評価されていたそうです。
普通ならエッセイを描くのが得意ならエッセイストになると思いますが、さくらももこ先生は漫画家を目指したそうです。
そして結果的にはちびまる子ちゃんという作品でエッセイ的なマンガを描くことになったそう。
コジコジなどの名作も世に出されていますが、さくらももこ先生の本で人気なのはやはりエッセイです。
これを聞いた時に面白いなって思ったのは、エッセイが得意で漫画家になったといういきさつです。
エッセイが得意ならさっきも書いたようにエッセイストを目指すと思います。でも先生は漫画家を選んだ。
エッセイマンガというものがその時代にあったかどうかは私は詳しく知りませんが、少なくともマンガはファンタジーな物語が普通だったと思います。
そこに自分の経験をもとにした作風のマンガを描こうと思ったのは、固定概念を崩した部分なのかもしれません。
結果的にちびまる子ちゃんというエッセイ的な自身の小学生時代の半生を描いた作品がヒットして、アニメ化して、実写化もしてしまったんですから。
学ぶべきことは、必ずしも創作マンガを描かないといけないということはないことと、固定概念や固まった考えから解放させること、ですかね。
これもさっきのどんなマンガが描きたいのかとか、自分にしか描けないマンガとかの話に繋がってきますよね。
さくらももこ先生のエッセイは、誰も描くことができません。自身が経験したことが描かれているわけですから。そこに多少のエッセンスが加わっていたとしても。
それこそまさに具体的な目標の設定ですよね。
最後に
ゲームのソシャゲを仕事にしたいと思っている場合は、それにあった求人に応募すればいいと思います。
でも必ずしもそういう人だけではありません。
私みたいなタイプも少なからずいるはずです。
固定概念を持たず、得意な事がどこにいかせるのか、明確な目標をもって仕事を選ぶと成功しやすくなるはずです。