絵本を作るうえで一番苦労したのは、全部です(笑)
何もかもが新しいことばかりで、右も左もわかりませんでした。
物語の作り方も、絵の見せ方も、正直わかりませんでした。
それでも何とか勉強して、文を担当してくれている方とコンスタントに話しながらもなんとか作り上げました。
手にとってくれた方からは「孫がベッドに持っていって読んでる」とか「子供幼稚園に持っていってる」とかの嬉しい言葉をもらえました。
その他の方でも「最後にホロリとさせられました」や「大人が読むと考えさせられて、子供が読んでも心に残る作品だった」と言っていただけました。
作ってよかったと思っています!
そんな悪戦苦闘した絵本作家として駆け出した私の絵本の作り方を少し書こうと思います。
絵本ではなかったとしても何かしらヒントになってくれればいいかなと思います。
- プロットから作ろう
- ページ分割シートを作って流れをコンテに起こす
- 流れができたらPowerPointで物語を書き始める
- 清書をしながら絵を描き始める
- 物語ができてから表紙に取り掛かった方がいい
- 絵本作りで苦労するのはどれ?
- 世に出てる絵本を読み続けた
プロットから作ろう
最初から難しいかもしれませんが、話のプロットを考えましょう。
どういう主人公がどういう世界で暮らしていて、何が起こって最後どうなったのか。
起承転結、序破急、どんな形でもいいので作ってしまいましょう。
人魚のしんじつの場合は、文を担当してくれている方がプロットを作ってくれましたが、その中で必要か不要かを判断して、全体をつめていきました。
2作目の物語では私が全部を担当していますが、やはり物語の大筋となる部分を最初に作りました。
この段階では絵が浮かんでても浮かんでなくてもいいんです。
実際私は自分で2作目を作っている段階では絵は浮かんでませんでした(笑)
多分今作でも文を担当してくれた方は、プロットの段階では物語の絵は浮かんでなかったかもしれません。
なんなら主人公のキャラデザしかできてなかったですから(笑)
そんな中でも作品を作っていきました。
作品に大きなテーマを設けよう
作品を作るうえで一番重要なのは「何が言いたいのか」です。
ここをしっかりと決めておくとブレません。
人魚のしんじつは「人魚は決して弱くない!」がテーマでした。
ただこれだけだといまいちリアリティがありませんよね。なので、「人魚=女性」のイメージから、「女性は強い」もテーマにしました。
テーマと大まかなプロットができたら一つの壁はこえたことになります。
絵本は絵が主役ですが、私は絵から作りませんでした。
なので、私のやり方は絵をかなり後回しにしていきます。
ページ分割シートを作って流れをコンテに起こす
アニメーターの方が絵を動かす前に絵コンテを描くように、絵本製作でも絵コンテを作りましょう。
絵本における絵コンテは、主に以下のことを決める役割があります。
- 物語をページで分割する
- 展開を決めていくことができる
- 物語の展開のうえで何に何ページさくかを決める
- 必要な部分と不要な部分を見極める
- 何ページになるのか、何枚絵を描けばいいのかを視覚化できる
私がこの方法を知ったのは、YouTubeにも動画を公開している絵本作家さんが紹介していたからです。
それを私なりにキレイにまとめたものです。
最初に表紙と裏表紙がきて、次のページには見返しというのが入ります(同人誌だとつけないこともある)。
そして次のページにはトビラが入ります。画像にも書いてますが、トビラは物語のタイトルが再度書かれたページのことです。
絵本は扉が1ページ目となります。ここから物語を描いてもいいですし、絵だけを載せて次のページから物語、としてもOKです。
そして2ページ目から本編になります。
絵本は見開きで一つの場面を描くので、2ページ分で1場面となります。
このシートの書き方は自由です。起承転結を大まかに分けて、どのページにどんなシーンを入れるかを自分がわかるように書きましょう。
物語がどう動くのかを事細かく書いてもOKですし、流れだけを書いてあとは物語を書きながら決めるための足掛かりにしてもOKです。
それがベースになります。
画像は40ページを想定して書いてますが、32ページで終わってもいいですし、少し増やして44ページとかでも良いと思います。
ただ本は4丁刷りでできているので、41ページになるなら1ページ減らして40ページにするか3ページ増やして44ページにする必要があります。
奥付というのは、本の作者とかの情報が書かれているあのページのことです。
これもページに含まれます。
見返しはページ数に含まれないので、ここは無視してもOKです。
4丁刷りってなに?
4丁刷りっていうのは、本を作る時のルールです。
4の倍数でページを増やしていかないといけないんです。
なぜかというと、ページは表裏で2ページ分でできていて、それが見開きで必要なので4ページ分必要になります。
その為、4丁刷りになるんです。
流れができたらPowerPointで物語を書き始める
物語のコンテができたら、それに合わせてPowerPointで第1稿を書き始めましょう。
ここでは実際の言葉を意識して書かなくてもOKです。
漢字も普通に使って、言葉も言いたいことをそのまま書きましょう。
あくまで物語をページに分割するのに、視覚化する意味でやっている作業です。
このデータをそのまま見せるわけでも清書するわけでもありません。あくまで頭の中の物語を外に出す作業です。
物語が決まるまではPowerPointで作業するのが修正がしやすくて良いでしょう。
清書をしながら絵を描き始める
物語が固まってきたらペイントソフトで文章を清書しながら絵のラフを描き始めましょう。
私はメディバンペイントプロを使っていますが、クリスタでもできます。クリスタの方が優秀ではあるので、持っている人はそっちでやった方がいいでしょうね。
私もクリスタあるのですが、人魚のしんじつの時には期限が切れた状態だったので使えませんでした。
今のペイントソフトは大体が同人誌用のレイヤーを作成できる機能があるので、それを使えば製本時に文字が切れてしまったり、絵がカットされてしまったりということがありません。
描いたものを同人誌用のレイヤーにコピペしても良いと思います。それで切れそうな部分を拡大縮小しながらやっていくと良いでしょうね。
絵を描きながらも物語を清書していきましょう。
この段階で決めた文章に何かしらおかしい部分があったら、遠慮なくて直しながら進めていくと良いと思います。
物語ができてから表紙に取り掛かった方がいい
本の表紙に関しては、できれば物語が出来上がった後に描くことをおすすめします。
物語ができていると全体の流れがつかめているので良いのが理由ですが、その他にももう一つの理由があります。
それが、一番絵がうまいときに描くとになるからです。
絵本の絵を描いているとき、人は必ず少しずつですが成長しています。
表紙を最初に描いてしまうと、最後に物語ができた時に一番下手な絵を表紙にしてしまうことになりかねません。
それだと魅力は半減してしまいます。でも一番最後なら一番絵がうまいときに取り掛かることになるので、いい絵ができる可能性が高くなります。
私も実際そうでした。
人魚のしんじつの表紙は私が最後に描いた絵です。裏表紙はそれよりも前に描きました。
結果的に一番いい絵になっていますので、これでよかったと思っています。
絵本作りで苦労するのはどれ?
絵本で一番苦労するのは、物語です。
もっと大きく言えば想像力です。何かしらの作品の影響は受けていると思うので、全くオリジナルであるということはないでしょう。
でもその物語は自分の中から出てきた新しい設定や新しいキャラクターたちです。
それは紛れもなくオリジナルです。
でもそのオリジナルの作品だからこそ、どうすればいいのかわからなくなります。
何が正解なのかもわからなくなっていきます。それだけ物語を作るのは大変なのです。
これは2作目を自分で0から作り上げている私もぶち当たっています。1作目に関しても作ってくれた物語に対してどうすればすっきり収まるのかを悩んで悩んで悩みぬきました。
結果的にできたもの、それが人魚のしんじつです。
正直まだまだ直せる部分はたくさんあります。
でも、これなら出せると思った部分までは作りこみました。
そうやって1冊の絵本が出来上がっています。
世に出てる絵本を読み続けた
絵本の制作中、私はずっと絵本を読んでいました。
この記事でも書いたように、買えない時にはアプリでも読んでいました。
絵本の文章の書き方、絵の見せ方、何が正解とされてその本が出ているのか等を読みながら勉強していました。
作りたいものがマンガならマンガをたくさん読んで勉強すればいいし、小説ならたくさん小説を読んで何が正解とされているのかを勉強すればいいと思います。
フランスのマンガであるバンドデシネを描きたいなら専門店も日本にはあるので、それを買って読むと良いでしょう。
なんにしてもすでにプロとしてその作品を世に出している先輩がいるのですから、その先輩たちの正解を真似てしまいましょう。
私もいっぱい真似ました。
だからこそできた作品でもあります。
私の独自のやり方もあると思いますが、知恵をお借りしたものもあります。
絵本作家ゆうりはこういうことを乗り越えて誕生しました。
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