絵本は、漫画以上に考えることが多く、頭をフルに使いながら制作をします。
メインターゲットが子どもであることで、表現として適切なのか、絵がわかりにくくないか等、意識しないといけないんです。
その中で、私が絵本の絵の中で意図的にやっていることがあります。
それはミッフィーの作者であるディックブルーナさんが取り入れていたものと同じです。
意図してやっていたことはディックブルーナのルールも自然と意識?
ミッフィーの作者ディックブルーナさんは、ミッフィー絵本の中で必ず守っていたルールが3つあるんです。
それが、
- キャラクターが正面しか向かない
- 線を整えずあえて揺れたままにしておく
- 使用するカラーを6色に絞っている
です。
キャラが正面しか向かない
ミッフィーの絵本の中で、キャラクターは正面をずっと向いています。
横顔が一切出てこないんです。
これに関してディックブルーナさんは、どんな時でも読者と真正面から対峙していたい、と答えています。
ずっと読者の方を向いていることで、見られている感覚があり真正面から今の感情を受け止めてくれているように感じますよね。
線を整えずあえてゆらしたままにしておく
ミッフィーの絵本では線をきれいに定規でひいたりとかはされていません。
少し歪んでいてもそのままにされています。
これには、線は自身の個性である、と言っています。
整えてしまうとそれはそれできれいな絵にはなりますが、誰が描いても同じになってしまいますよね。
それが好きじゃなかったからなのか線が少し歪んでいても、それが個性だとして残したんでしょうね。
カラーは6色しか使わない
ミッフィーの絵本では、赤、黄、緑、青、茶、グレーの6色に絞られています。
ただし白はミッフィーの肌とかですし、黒は線の色なので、白と黒は含めません。
これらの色は原色だったりしますが、これらの色で明るさや落ち着きなどを表現しているようです。
これらの色はブルーナカラーと言われているようです。
ビターちゃんの絵本で意図的にやったこと
では、私がビターちゃんの絵本で意図的にやっていたことは何なのか。
それは、目線です。
1作目に出てくるキャラクターはまあちゃんですが、まあちゃんとビターちゃんが一緒にいるときにはビターちゃんの目線はまあちゃんに向けています。
ですが、ビターちゃん単体で出てくるときにはビターちゃんの目線は前を向いています。
これには理由があります。
まあちゃんに向かって話すときには、まあちゃんに話しかけるようにしているのですが、ビターちゃんだけの時には読者がまあちゃんの立ち位置になるようにしているんです。
ビターちゃんにこっちを見られら時、読者もビターちゃんのコーヒー屋さんにいるような感覚にしたんです。
読者もそこのいるように錯覚させることで、まあちゃんは自分なのかもしれないととらえることもできると思いますし、まあちゃんと一緒に自分も来ているようにもとらえることもできます。
解釈は自由ですが、ビターちゃんの世界観に入ったように感じてもらえると思います。
これは2作目3作目でも、場面場面で効果的に使っています。
対して、読んでくれればわかるのですがまあちゃんとは一度も目線が合わないと思います。
これも意図的にやっています。
1作目では、わかりやすいように効果的に使っていますので、気になる方はぜひAmazonを覗いてみてください。
リンクは記事の最後に載せておきます。
妖精の国は心の中
妖精の国は、どこかのファンタジーな場所ではありません。
多少ファンタジーではあるんですが、場所は心の中だと思っています。
なので、ビターちゃんのコーヒー屋さんは架空よりも少し現実的です。
読者が少し迷ったり困った時、絵本を開くとビターちゃんのコーヒー屋さんに行くことができます。
そして、そこでビターちゃんからの優しい言葉とコーヒーをもらって元気になって帰ってくることができます。
絵本の最後のネタは読んでからのお楽しみにしてほしいので言いませんが、この終わり方は余韻が残る上に「読み返すまでは確かにそうだよね」となると思います。
そこまで考えたうえでの作品
こういった色んなことを考えながら絵本を作っています。
そういう意味においては、絵本ってすごく頭を使うんですよね。
ある意味で頭がよくないとできないかもしれません。
もちろんそういうのを効果的に使っている絵本もあれば、絵と物語が上手にリンクしている作品もいっぱいあります。
知り合いの絵本作家さんにも「絵と文章がバラバラになってる」と言われたことがあるんですが、文章にきれいに沿わせないことで得られる没入感を味わってもらえればと思うからです。
これは気づかなくてもいいんです。
なんか不思議な感覚、くらいにとらえても問題ありません。
でもこういう描いた時の裏側が見えると、ちょっとだけ気になるって思いませんか?笑
私は裏側を知りながら作品を楽しむのも大好きなので、需要があれば文章についても書こうと思います。
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