ビターちゃんのふしぎなカフェのプロットを書き始めたのは2021年12月。
そこから2週間でプロットを書き上げ、修正を加えてまとめる作業に入りました。
挿絵も描き、完成した段階でえほん大賞に応募したり、プロの絵本作家さんや編集さんにアドバイスをもらいながらさらに修正を加えて、世に出たのは2022年8月のことでした。
プロットを書き始めてから世に出るまでに半年以上かかっています。
絵本を描いたこともない新人がデビューするのは、すごく大変です。
私がデビューできたのはキセキでした。
そんな紆余曲折あってできたビターちゃんのふしぎなカフェですが、その物語ができた経緯を書こうと思います。
舞台は最初から決まっていた
絵本を描くうえでビターちゃんという私の生み出したキャラクターを主人公にするのは決まっていました。
なので、舞台は最初から「カフェ、コーヒー屋さん」にしようと決めていました。
ビターちゃんがそもそもコーヒーの妖精のキャラクターで、中でもカフェオレがモチーフなのでカフェ以外にはないというのが頭にありました。
カフェは私が大好きな場所でもあるので、私にとってもとても描きやすい場所だと思ったのも理由です。
「ふしぎなカフェ」になった経緯
舞台はカフェするのは決まっても、物語をどう展開させていくのかが全く決まっていなかった時、ふと思ったことがありました。
「昔好きだった作品から着想を得よう」
そこで私が好きだった作品を羅列していきました。
その中で一つの共通点がありました。
それが「不思議さ」でした(もちろん不思議なお話だけが好きなわけではありません笑)。
私の好きな作品は「笑ゥせぇるすまん」「世にも奇妙な物語」「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」で、特撮関係だと「ウルトラQ」や「ウルトラマン80」などなどです。
何気ない日常に潜んでいるちょっとした不思議さが面白い作品がとくに多かったんですよね。
なので私はそういった名作たちからヒントを得て、自分の中の「不思議さ」を自分の作品に込めていこうと思ったんです。
ちなみに、最初は「ビターちゃんのやさしいコーヒー屋さん」という仮タイトルがついてました。
これでも良かったのかもしれないですけど、今こうして作品が読まれることを考えると、やっぱり「ビターちゃんのふしぎなカフェ」で正解だったなぁと思います笑
絵本のラストの思いつきはふとしたことで生まれた
絵本のラストは、余韻が残るものになっているというのはこのブログでも過去に書いたことがありました。
その読後感を生み出すお話の閉じ方を思いついたのはふとしたことがきっかけでした。
こういうことってあるよねっていう「あるある」が頭に浮かんで、それってむしろ日常にある不思議な事なんじゃないかと思ったんです。
その不思議さを絵本の中である「きっかけ」で起こるとしたら、物語のラストとしていい読後感を与えられるかもしれないと思ったとき、ふしぎなカフェのラストが完成しました。
どう文章で表現しようかと結構考えた結果、1作目では少しわかりやすく書きました。
そして2作目以降は絵でその状態を表現するようにしました。
絵本というファンタジー、妖精の国というファンタジーの世界ではあっても、ちょっとしたリアリティがあることでその世界やお店が本当にあるかもしれないと感じてもらえたら何かを残せるのかもしれないと思ったんです。
時間をかけて考えていくうちに、今の絵本の閉じ方で落ち着きました。
ふしぎなカフェは隠れ家的なお店を下敷きにした
個人経営とかこじんまりしたお店とか隠れ家的なカフェって、どこか現実から少し外れた別の空間みたいな錯覚になることがあると思うんです。
私が実際カフェを利用した時とかには感じます。
カフェって、店内が薄暗くなっているので、時間が少しゆっくりと進んでいるような錯覚に陥る感覚がありますよね。
そういったカフェ独特な感じがビターちゃんのお店には欲しくて、それらを下敷きにしながらふしぎなカフェの店内や外観をデザインしていきました。
大々的に「カフェです」感を出すんじゃなく、「ここってお店なの?」みたいな疑問がわくような感覚。それが欲しかったんです。
でもどこかファンタジックな要素も欲しかったので、店内には照明がなく、中も最低限のものしかないような「ミニマル」なデザインにしました。
何なら蛇口などもないので、どうやってコーヒーを作っているのかもよくわからないようなデザインにしています笑
それもちょっと不思議なお店である一つの演出としてあえてやっています。
それに時計はビターちゃんの帽子のデザインですし、姿見も帽子がデザインされていたりします。
4ページ絵本で出てくるビターちゃんのベッドにはビターちゃんの帽子と顔のシルエットが掘られていますので、世界観もしっかりと統一させました。
でも必要最低限のものはちゃんと棚に置かれているようにしています。そこはカフェであることがわからないと意味がないので、記号的に取り入れました。
悩める妖精が出てくる理由
ふしぎなカフェには、毎回必ず悩める妖精が出てきます。
なぜ悩める妖精が出てくる絵本にしたのかというと、「普遍的だから」です。
悩むから人であり、悩みは消えることがありません。どんな小さなものでも悩みって必ずありますよね。
それは普遍的だと思うんです。
絵本って何年何十年と読み継がれていくものなのでその時に流行っているトレンド的なものを入れてしまうと、時間が経つと古さを感じてしまいます。
でも普遍的なものであれば絶対に消えることはないし、どんな時代の人でも同じような悩みを持つと思うんです。
そこに対して優しく寄り添える物語であれば、いつの時代になっても読んでもらえて心に残ってくれると考えました。
なので、悩める妖精が出てくる物語にしたんです。
カフェという場所とも合いますしね!
最後に
ビターちゃんのふしぎなカフェは現在3冊出ています。
絵本の物語のベースや物語の終わらせ方はテンプレート化しているのである程度同じですが、出てくるキャラクターによって物語の展開は大きく違います。
この辺は笑ゥせぇるすまんなどの影響を強く受けています。
でもビターちゃんが主人公であるようには描きつつ、しっかりと1冊でまとまってすっきりと物語が終わるようにできているので、どれも自信作です!
よかったら1冊でも手にとってみてください。絶対に損はさせない自信があります!
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